電子メールは、BtoBのマーケティングにとって不可欠なチャネルです。ここではマイクロソフト社の『Dynamics 365 Marketing』からメールを配信する方法をお伝えします。
Dynamics 365 for Marketingとは
Dynamics 365とはMicrosoft社が提供する企業における「営業」「マーケティング」「カスタマーサービス」「フィールドサービス」「管理」「経営」の全ての部門を支える、CRM・SFA・ERPの統合ソリューションです。
Dynamics 365 for Marketing (マーケティング)は、潜在している顧客の発掘を支援するアプリケーションです。メールの配信、キャンペーン活動や各種イベントなど、様々な方法から獲得した見込み客へ確度の高い見込み客を抽出する支援を行います。
個人用にカスタマイズされた大量のマーケティング電子メールを送信し、各受信者の反応をモニタリングし、その反応に基づいて顧客体験の自動化を推進するマーケティングオートメーション機能も付与されています。
Dynamics 365 Marketing マーケティング電子メール作成の事前準備
まず下記の内容は用意しておいてください。
- サブスクリプションセンターのリンク
- メッセージ内容
- 組織の住所
- 電子メールの件名
- 電子メール送信元アドレス
Dynamics 365 Marketing を使用して作成するマーケティング電子メールはすべてサブスクリプションセンターへのリンクを含み、購読の解除ができるページに移動できる必要があります。このリンクと組織の住所の両方がないとエラーチェックに引っかかります。
Dynamics 365 Marketing マーケティング電子メールの作成方法
「マーケティング > マーケティングの実行 > マーケティング電子メール」に移動して「新規」をクリック。
電子メールの新規作成
「新しいマーケティング電子メール」ページが開き、様々な電子メールテンプレートが選択できます。「マーケティング テンプレート > 電子メールテンプレート > 新規」からオリジナルのテンプレートを作成することもできます。
ヘッダー情報入力
選択したテンプレートのコンテンツがデザイナーにコピーされます。 ヘッダーの横にある「その他のヘッダー フィールドボタン」を選択してドロップダウンを開き、
・件名
・宛先
・電子メール送信元アドレス
を入力します。
テキスト要素作成
ページの左側にデザインキャンバスが表示され、ツールボックスからコンテンツとなるデザイン要素をドラッグ、配置、入力できます。要素を適切な場所にドラッグすると、青色で網掛けされた領域が表示されるのでドロップします。
その後、テキストを選択して削除し、オリジナルのテキストを追加します。
画像要素作成
画像を新規に追加するにはツールボックスからキャンバスに画像要素をドラッグします。プロパティタブで、ソースフィールドの右側にあるイメージギャラリー参照ボタンを選択するとファイル選択ダイアログボックスが開きます。
Dynamics 365 Marketingサーバーに既にアップされている画像がすべて表示されます。 画像が表示されない場合は、アップロードを選択して新しい画像を追加してから選択します。
プレビュー確認
必要なコンテンツを用意したら、プレビュータブに移動して、左端のさまざまな画面サイズで表示を確認します。 プロパティ列の取引先担当者とコンテンツ設定フィールドで動的コンテンツがどのように表示されるか確認します。
エラー確認
送信できる状態になったことを確認するには、コマンドバーで「エラーの確認」をクリックし、問題がある場合は修正します。
テスト送信
最後に自分宛にメッセージをテスト送信する準備をします。コマンドバーで「テスト送信」を選択すると画面の右横から簡易作成フォームがスライドして表示されます。
表示されるフィールドに自分のメールアドレスを入力し、「保存」を選択して自分宛に送信します。 数分でメッセージが届きます。
ライブに移行
受信トレイでも、開封時にもメッセージの表示に問題なければ、コマンドバーから「ライブに移行」を選択して公開します。これによってメッセージを顧客体験で使用できるようになります。ただし、メッセージはまだ配信されません。
Dynamics 365 Marketing 顧客体験作成の事前準備
顧客体験を作成するには、以下を用意しておいてください。
- 有効なライブ状態のマーケティング電子メール
- 電子メールを送信する宛先となる取引先担当者を含むセグメント
セグメントには、たとえば「動的セグメントを作成する」で作成した取引先担当者を指定します。
Dynamics 365 Marketing 顧客体験を作成する
顧客体験の新規作成
「マーケティング > マーケティングの実行 > 顧客体験」に移動して、コマンドバーから「新規」を選択します。
新しい顧客体験ページが開き、顧客体験テンプレートを選択すると顧客体験をデザインする開始点となります。スキップを選択して、顧客体験を新規に作成することもできます。
今回は1回だけの電子メール送信を実行するため、「簡易電子メール体験」のテンプレートを選択します。
対象者の設定
顧客体験デザイナーが表示されたら 最初に顧客体験の対象者を設定します。
「対象者の設定」または「 + 」を選択し、対象者プロパティウィンドウがページ右側に表示されます。
セグメント検索フィールドで、キャンペーンの対象にするセグメントを選択します。
電子メールの設定
キャンバス上の電子メールタイルを選択し、送信する電子メールメッセージを選択します。
電子メールの送信タイルに電子メール名が表示され、電子メールの送信 プロパティウィンドウには、セグメントのプレビューとプロパティが表示されます。
全般タブでの設定
デザイナータブから全般タブに移動し、下記の項目を設定します。
- 名前: 後で簡単に判別できる名前を入力します。
- 開始日時: 顧客体験で取引先担当者のメール配信処理が始まる日時を入力します。
- 終了日時: 顧客体験で取引先担当者のメール配信処理が終わる日時を入力します。
- タイムゾーン: ローカルタイム ゾーンとして日本(大阪、札幌、東京)を選択します。
保存とエラーの確認
コマンドバーで「保存」を選択するとここまでの作業が保存できます。
顧客体験に必要なコンテンツと設定を確認するには、コマンドバーで「エラーの確認」を選択します。
エラーが見つかった場合は、ウィンドウ上部にメッセージと、問題の場所が表示されます。合格するまでやり直してください。
ライブに移行
エラー確認に合格したらコマンドバーの「ライブに移行」を選択して顧客体験を公開します。
顧客体験が実行されると設定された期間中に取引先担当者の処理、アクションの実行、結果の収集が行われます。
まとめ
潜在顧客はまず製品やサービスを発見し、次にその製品がニーズを満たすかどうかを評価したうえで最終的に購入します。このプロセスを進めたり、潜在顧客との関係性を深めるのが顧客体験です。
Dynamics 365 Marketingでは電子メールの送信を含めたさまざまな顧客体験モデルが用意されています。メール送信結果は顧客体験のインサイトタブから詳細な分析を確認できるので、メールマーケティング施策のPDCAを回していくことが可能になります。